毛布について

■毛布について

毛布(もうふ)は、羊毛などを厚く織って(編んで)起毛などの処理を施した製品で、睡眠中の暖かさを保ち、寒さの程度に応じて複数枚を重ねて使用したり、掛け毛布、敷き毛布として利用方法を変えることもできます。素材によって、重さ肌触りなどに違いがありますが、構造的には、織り毛布、シール織り毛布、編み毛布があります。それぞれに特徴があり、使い心地が異なるので、自分に合う毛布をお探しください。

 

■ 毛布の歴史

1885年(明治18年)泉州(現在の大阪府泉大津市)で縞模様からダンダラ毛布(赤ケット)と呼ばれた最初の毛布が織り上げられ、牛毛毛布第一号が誕生した。しかし、牛毛毛布は臭いがきつく価格も高価で普及しなかった。そこで、牛毛布に少し遅れて開発された綿毛布は、日清・日露戦争の影響を受け、「価格が安い」「綿という素材が嗜好に合っている」という理由で欧州毛布産業から泉州毛布産業が世界市場を席巻し、大正時代にその生産のピークとなった。(ここでいう綿毛布は現在のものとは違い、ゴワゴワしたもの)その後、羊毛毛布の生産が始まり、戦時下(昭和)には綿の代用品としてのスフ(レーヨン)毛布が生産された。戦後1950年台には商品の多様化が図られ、新製品が続々と生まれ、「電気毛布」「夏毛布」「子供毛布」「コタツ毛布」が市場に現れた。そして毛布の生産工程に、大きな変革が見られたのが、1961年のタフティング・マシン、キルティングやラッセルなどの新鋭設備が導入され、1973年にはマイヤー毛布が開発された。その他、パイル製品産地の和歌山県高野口で高級毛布であるシール織毛布が生産開始され、現在に至っている。

60年に1回やってくる辛亥の年(1971年)に紫色の寝具を使えば、長寿が保てる、という言い伝えが、異様なブームを呼び、紫色の毛布がブームになった。「泉大津の空、川、家屋までが紫色に染まった」というほどで、すべての毛布が紫に染め上げられ、その年の暮れには、泉大津から一切の毛布が消えたといわれた。

 

■ 毛布の種類

・織り毛布。織り毛布には綿毛布、シルク毛布、ウール毛布、キャメル毛布、カシミア毛布、アルパカ毛布など獣毛毛布がある。ウールやカシミヤ、キャメルなどは代表される伝統的な起毛毛布。レピア織機やジャガード織機などを使用し織り上げた後、たくさん針が付いたローラー(起毛機)でヨコ糸を毛羽立たせることで風合いを出している。織り毛布は原料が高く高級毛布として販売さ れているが、ドライクリーンニングや手洗いが多く、取り扱いもナイーブな商品である。原料が高い天然繊維は保温性が高く、放湿性も高いので、体に優しく、いい睡眠がとれるとされている。産地は大阪府泉大津地域。

・マイヤー毛布。カールマイヤー編機を用い、極細番手の原糸を編んだ、毛足の長い立毛が密生した肌触りの良いニット毛布。2枚の地布(グランド)の間をパイル糸で編み上げ、パイル糸の中央をカットして2枚に分け、風合いを良くする加工を施した後、パイル面を表にして張り合わせて仕上げている。

・ニューマイヤー毛布。片面がマイヤー編、片面が起毛された毛布で、軽くて暖かな1枚タイプの毛布。

・タフト毛布。基布に植え付けたパイル糸を起毛した毛布。現在は災害用として使用されることが多い。

・シール織毛布。シール織り毛布は織り込まれたパイル糸を表に引っ張り出す独自の製法により発達し、シールはアザラシの毛皮の意味。シール織りは綿やウール、シルク、などの天然繊維を原料とする。両面のパイルが挟み込まれて織られているので、洗濯による形状変化が少なく、肌触りが柔らかな毛布。一般的には織りの起毛毛布よりシール織り毛布や編みのマイヤー毛布のほうがパイルが抜けづらいとされている。

織り毛布や編み毛布は原料が安い為、現在はほとんどが中国製品になっている。製造ロットが大量生産型な上、化学繊維は取り扱い易く、設備が最新であれば製造し易い側面がある。保温性は高いが放湿性がない為、蒸れ感が気になる方は睡眠の質に影響する。

 

■ 素材分類

【天然繊維】

・綿 組織には織りと編みがあり、それぞれ番手の違う糸が使用され洗濯性に優れている。

・絹 美しい光沢があり、保湿性に優れている。

・毛 羊毛と獣毛に分類される。

・羊毛 メリノ種が使用されることが多く、繊維の太さが比較的均一で、細く柔らかいことが特徴である。

・カシミヤ 産地により繊度や色あいが異なる。原毛は色によって区分けされ、ホワイト色の原毛が最も高価とされる。繊度は細く柔軟で、保温性、吸湿性に富み、光沢とヌメリ感がある。中国産の繊度は14.5~16.5μmと非常に細く柔らかである。(原産国は、中国、モンゴル、イランなど)

・アルパカ 羊毛と獣毛の両方の特性を持ち、光沢やヌメリ感があり、柔軟である。繊度はベビーアルパカで平均21~23μm、アダルトアルパカで平均27~28μmで、繊維長は100~300mmである。(原産国は、ペルー、チリなど)

・キャメル フタコブラクダから取れるキャメルの毛質はカシミヤに似ているが、繊度がカシミヤより太く、平均18~23μmである。柔軟、軽量で保温性に富み、吸湿性、弾力性がある。(原産国は、ロシア、モンゴル、中国(チベット)、イラン、イラクなど)

・ビキューナ ビキューナは繊度10~14μm、長さは20~50mmの細く柔らかいうぶ毛である。家畜化が難しいため生産量が極めて少ない品種である。(原産国は、ペルー、ボリビア、チリなど)

 

【化学繊維】

・アクリル 軽くて、かさ高、保温性に優れるなど、化学繊維の中では羊毛に類似した特性もある繊維である。耐光性に優れ、虫やカビにも侵されにくく、発色性が良い繊維である。

・ポリエステル 強く、シワになり難く、耐熱性の高い繊維である。また、速乾性にも優れている。

 

■ 取扱方法

・羊毛・獣毛毛布、シルク毛布

干す際は、直射日光を避け、陰干しする。汚れた場合はドライクリーニングをする。毛乱れが生じたら、毛並みに沿って一定方向にブラッシングすると風合いが良くなる。

・綿毛布

家庭用の洗濯機で洗濯が出来る。毛羽が出易いので、屑取りネットの使用などの対策が必要である。

・アクリル・ポリエステル毛布

手洗い、または、家庭用洗濯機の弱流水で洗濯できる。ドライクリーニングの場合は石油系溶剤でのクリーニングになる。タンブル乾燥は風合い変化を起こしやすいので注意が必要である。

 

■ 毛布製造工程

・精紡

カード機で巻きあげられた糸は、まだ、撚りがかかっていない。「精紡機」は撚りをかける工程。こうして完成した糸は、毛布の巾丈となる経糸(たていと)を精紡機でビームに巻きかえる。一方、緯糸(よこいと)は、ワインダーで紡錘型に巻きかえるが、普通織機用の場合は、さらに「管巻機」によりシャトルに入れる管に巻きかえる。

・製織工程

織機には、普通織機とレピア織機がある。製織には、経糸(たていと)の間にシャトルまたは、レピアで緯糸(よこいと)を往復させ、織りあげていく。最新鋭の織機では、その往復のスピードが1分間に150回、その動きは目でとらえることができない。柄(がら)を織っているのは「ジャガード機」。穿孔(せんこう)された紋紙(もんがみ)によって、緯糸(よこいと)がコントロールされ、指定された模様が織りあげられる。

・染色工程

検反(けんたん)を済ませた毛布は、「洗い」「染色」「水洗い」の工程に進む。

・起毛工程

織りあがったばかりの毛布は、毛布というよりも絨毯(じゅうたん)に似た手触りである。これを「起毛機」にかける。これは、数多くの針布ローラーの組み合わせでできており、毛布は、この針布ローラーの間を通る間に、毛羽立つ(起毛)。起毛は、毛布づくりでは、最も重要な工程のひとつで、起毛師は、指定された風合いを生み出すためには、かなりの熟練を要する。

・シャーリング

起毛が終わると、次の工程は「シャーリング」であり、毛羽の長さを一定に刈り揃え、毛玉を防ぐとともに、色、柄を鮮やかに浮き立たせる。

・編み組

マイヤー毛布は、まず、カールマイヤー機で2枚の地布の間をパイル糸で編みあげ、その間をカットして、2枚に分離させる(センターカット)。プリントや毛さばき、裁断工程を経て、「張合ミシン」でセパレートされていた2枚の毛布の裏と裏を張り合わせる。

・毛さばき

織り毛布は起毛で風合いを出すが、マイヤー毛布は、撚った糸を元の繊維に戻すため針布ローラーで「さばき」、風合いを出す。

・ポリシャー

縮んだ毛布を熱をかけて伸ばし、さらに艶を出して、独特の風合いを出す。

・縁飾り

毛布の四方をテープで縫製する。